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2008.01.29

デカルトの斜視フェチ

ルネ・デカルトは斜視の女性が好きだった。権威あるブリタニカにちゃんとそう書いてある。有名なフランスの哲学者にはそういうフェティッシュな嗜好があった。
これを知ったとき、ぼくはデカルトが気の毒になった。十七世紀ヨーロッパ知識人階級に、斜視の女性がそう大勢いたとは思えないからだ。彼はマヤ族に生まれればよかったのだ(マヤ族は斜視を美人の条件としたと言われている)。それとも現代に生まれるか。今の時代にはそういうフェティシズムを持つ人向けの雑誌やウェブサイトがあるからだ。
ただ『ブリタニカ』がこの事実を載せているのには理由がある。おかしなことにこの問題には深い哲学的な意味が含まれているのだ。デカルトは『哲学原理』の中で、自分が斜視の女性に惹かれるのは、子供のころの遊び友達だった斜視の女の子が好きだったからだと説明している。そしてそれに気づいたとき、フェティシズムから解放されて、斜視でない女性を愛せるようになったという。『ブリタニカ』は、この洞察が、「人間には自由意志があり、精神は肉体を統御できるとするデカルトの思想の基礎だった」としている。ふうむ。デカルトの幼友達の女の子は、自分が西洋哲学に深い影響を与えることを予想していただろうか?
ぼくはデカルトを尊敬するようになった(『ブリタニカ』も、Descartes〈デカルト〉とCartesianism〈デカルト哲学〉の二つの項目を与える破格の扱いをしている)。フェチの告白をしたとき、彼はフランス哲学界の社交クラブでからかわれたかもしれないが、これはいい話だ。デカルトが精神の力を信頼し、自分を知ることに高い価値を置いたのはすばらしい。“われ思う、ゆえにわれ在り”の陰には、“われフェチを自覚す、ゆえにフェチより解放さる”があった。フロイトが最初の長椅子を買う二百五十年前に、自分自身に精神分析治療をしたわけだ。
というわけで、すばらしいとは思うけれど、本気で信じる気にはなれない。フェチの原因を知るだけでそれから解放されるのなら、グレニッチ・ヴィレッジで売られている鞭や手錠の数はもっと少ないはずだ。

「驚異の百科事典男」A・J・ジェイコブズ著 文春文庫より

先日古本屋で買った「驚異の百科事典男」という本を読んでたら、「ブリタニカ百科事典」に出てくる興味深いトリビアとしてデカルトが斜視フェチであったというエピソードが紹介されてた。
ちょっとこのエピソードを確認するためだけに、岩波文庫から出てるデカルトの「哲学原理」が読みたくなった。(残念ながら青空文庫には登録されていない。)

ところで著者によると、斜視フェチ向けの雑誌やウェブサイトがあるらしいけど、本当にあるのなら僕も是非とも知りたいものだ。

Wikipedia : René Descartes / ルネ・デカルト
Project Gutenberg : The Selections from the Principles of Philosophy by René Descartes

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Jan 29, 2008 1:28:29 PM |

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Comments

わたしは自分で意識してピントを合わせることができますが、斜視なのでとても生きにくいですよ〜〜。
人と目を合わせて話さねばならない時が苦痛です。
斜視の人の集まりがネット上にあるなら、行ってみたいですねーみなさんの悩みとか、聞いてみたいです。

Posted by: ことり | 2008.01.29 01:44 午後

ことりさん、こんにちは。
斜視にも程度がありますから一概にどうこう言うことはできないですし、こういうことは当人にしか判らないことも沢山あることと思いますけど、ことりさんの場合はそれほど気になさらなくてもよいのでは。寧ろ魅力になっていると思いますよ。

斜視の人のコミュニティのようなものはあるようです。
斜視で検索すると結構出てくると思いますよ。

Posted by: Hugo | 2008.01.29 02:21 午後

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