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2007.08.16

イチジク浣腸にもの申す

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先日、奇譚クラブから浣腸ポエムを転載したばかりだけれど今回もまた浣腸ネタ。浣腸ネタが続くと浣腸マニアかと思われないかとヒヤヒヤである。

イチジク浣腸にもの申す

中井照夫

使用法

1 添付の針で尖端両側凹部より針を廻しながら十分に孔を開け使用してください。

2 孔を開けてから少し薬液を出すか、唾液をつけるかして尖端部を濡らし、なるべく深奥部迄挿入して下さい。

3 注入が済んだら浣腸器を抜き去り肛門を脱指綿か、柔らかい紙でおさえて下さい。やがて直腸が蠕動を起し、はげしい便意を催します。しかしこの時すぐ排便をせず出来る限りがまんして下さい。そして何うしてもこらえ切れなくなったときに手をはなして排便してください。


 マニアの方なら誰でもよくご存じのイチジク浣腸(大)20グラムの外箱に書いてある使用法の名文である。

 「イチジク浣腸の大人用下さい。」私は何度薬局の店頭でこう言ったことであろう。回数をいくら重ねても、その度毎に何とも言えない抵抗を感じ、恥づかしさにぞくぞくした事であろう。ほうりなげるように三十五円を払って薬局を飛び出すと、誰にも見えないように手の中に隠し、横町に曲がって人気のないのを確かめてからそっと手のひらに乗せてみる。
 「FIG イチジク浣腸 ICHIJIKU ENEMA 20瓦」
 毎度あまりにも親しんだ文字が目に写ってホッと溜息をつくのも、マニアならではかも知れない。丁寧に楕円形の封緘紙をはがせば逆三角形のセロハン紙に包まれて、ピンクの肌もなまめかしい、おお、すんなりとした浣腸器があらわれる。その肌ざわり、嘴管の丸みがいやが上にも私の胸底をくすぐる。

 分かり切った事ながら、主治効能「便秘及び便秘を原因とする発熱・ヒキツケ・頭痛・ガス膨満・眩暈」を何度も何度もよみ返す。
 俺は便秘だ。いや三日間も排便を敢えて我慢していると、本当に便秘のようになってくる。これは医者をして言わしむれば、便意とは直腸に下ってきた便が直腸粘膜を刺戟して起こるのであって、もし我慢すればその刺戟は遠ざかり、今度は、更に多くの便が下がってより一層大きな刺戟を与えねば便意は起こらない。従って便意を我慢すればする程、大量の便が直腸にたまらぬ限り便意は起こらぬ訳である。三日も我慢した私。「お前は今ものすごく便秘している。浣腸しなければいけない。さあ、横になって、すぐ浣腸しましょうね。」私は声に出してそう言ってみる。ああ、とうとう浣腸される。誰に? 私の右手に・・・・・・。

 さて、前述の使用法だ。何度よみ返してもあきない名文ではないか。簡にして明、添附のの針で尖端両側に穴を、あけ尖端部を濡らしてから深奥部まで挿入する。
 動けないように、緊縛されたと想定して私は両足首を帯でしっかりと縛っておく。自分で浣腸するのだから、両手を縛れないのは残念だが、足の自由をあえて奪っておくだけでも心理的には充分である。
 さて静かに嘴管の挿入。イルガートルの十糎もある嘴管と違って、僅か二糎の嘴管は物足りないが、致し方ない。「注入がすんだら浣腸器を抜き去り」だが、ポリエチ容器では最後の一滴まで注入するのは不可能だ。どうしても5瓦位は残ってしまう。そこで一旦抜いて空気を入れ、今度は伏臥して今一度注入する。すると、嘴管の方に溜まったグリセリン液の残量のみが改めて注入されるが、勢いよく注入すると空気まで入ってしまうので注意を要する。こうして完全に二〇瓦の注入は終わった。

 「肛門を脱指綿か柔らかい紙でおさえて下さい」の脱脂綿の脂が誤植である。有名メーカーとして一刻も早く訂正されるようあえて苦言を呈する。それは兎も角、真白い脱脂綿で押さえ、「さあ、我慢するんですよ」と自分で自分に言い聞かせる。「やがて直腸が蠕動を起し、はげしい便意を催します。」と書いてある。激しい便意、これこそ待ちに待った法悦境、今か今か、腸がグルグルとなる、襲いくる強烈な排便感、力をこめて押さえる肛門がピクピクと痙攣する。ああ、苦痛が彩る歓喜の時 —— と思えども、一向その気色はない。「我慢しましょうね、我慢するんですよ」
 幼児にさとす如く言ってみるが、ちっとも便意は起こらない。三分、五分かすかに便意らしきものが、しかしそれも極く微弱であって、グッと我慢するとそのまま遠のいてしまう。仕方がないので、敢えて排便のようにいきんでみると、今度はいくらか出たい、しめたとばかり、「我慢するんですよ」と口に出して我慢すると、そのまま便意はすーっと引っ込んでしまう。

 使用法にはこう書いてある。「何うしてもこらえ切れなくなったときに手をはなし排便してください」と。どうしてもこらえ切れなくなる —— 一体どうしたことだろう。遂に十分を経て、便意は全くなくなってしまった。私は失望の中に脱脂綿の手を離し、あえて力をこめていきんでみた。何の感興もなく、便はあっけなく出てしまっただけである。そこに何等の便意の苦痛に耐える被虐も何もないのである。
 使用法の3項は偽りであろうか。「直腸が蠕動を起してはげしい便意を催す。どうしてもこらえきれなくなったとき」という名文句はあたら空文であった。
 しかし、ここでイチジク製薬に苦言を呈するのは酷であろうか。大体五〇%グリセリン液二〇瓦では大人の、しかも私たちマニアのように少々の刺戟ではビクともしない者にとってはあまりにも少量に過ぎるのだろうか。それにしても外箱の名文とはあまりにもかけ離れた状況に私は憮然とした次第である。

 勿論イチジク浣腸には「強力」というのがある。私は強力でも試してみた。今ここにそれを詳述する紙面がないので割愛するが、殆ど大差のなかった事を附言する。

 そこであてイチジク浣腸に呈言する。備考として、「浣腸マニアの方には」とはまさか書けまいが、頑固な便秘、或は普通大人は、二個乃至三個を同時に用いた方が効果がよいといった説明を付けるべきではないだろうか。と同時に、二〇瓦入りばかりでなく、五〇瓦一〇〇瓦の特大型が発売されるよう、あの広告用のすばらしい模型程でなくとも、兎に角大型が待たれる次第である。
 あの愛すべきイチジク浣腸が、マスコットとして可愛がられることはあっても、マニアはイルリガートル、喞筒式グリセリン浣腸器、エネマシリンジを愛好するのも、いささか効力の弱さに起因すると思う。我がイチジク浣腸のために、残念に思う事をのべ、マニアの繰り言とした次第である。

奇譚クラブ 1961年4月号より

因みに現在では12才以上向けとして30グラムと40グラムのものが販売されている。(強力タイプは現在販売されていない)

イチジク製薬株式会社 
Hugo Strikes Back!: 「私の夢」 園部まり

Aug 16, 2007 2:36:18 AM |

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Comments

いきなり、「物申す」?
何事かと思い読み進むに、
「ああ、とうとう浣腸される。誰に? 私の右手に・・・・・・。」
なるほど、相当に期待に胸を膨らませているのがよくわかります。
そりゃそうか、3日も我慢してはるんですものね。
姿勢を変えて、最後の一滴まで無駄なく注入!
なおかつ細心の注意で空気の進入は阻止!
そして、我慢の限界まで我慢!
ヾ(≧∇≦)ノ彡☆
ここまで完璧にこなしてはるのですから、
極上のクライマックスがあるはず・・・

あれ?

あれれ?

読み進むこちらも肩透かし。

ほんと!

イチヂク浣腸に物申す!


ははは、思わず共感してしまいましたよ。
でも、あの大きな広告用の浣腸はやめといたほうがいいと思いますよ♪

ところで、これは昔hugoさんが投稿されたものですよね?
(゜▽゜)b~♪

Posted by: ひす | 2007.08.18 05:19 午後

> ところで、これは昔hugoさんが投稿されたものですよね?

1961年の投稿記事なんでまだ父親のキンタマの中にも居ないころですねぇ。

Posted by: Hugo | 2007.08.19 02:14 午前

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