観た映画「時をかける少女」
青い空と丁寧な絵作りが印象的なアニメーション。すごく楽しんで観ることが出来たのだけれど、見終わった後に冷静になって考えてみると随分杜撰な脚本で映像の力でごり押ししてるなぁという印象。物語という次元では正直、大林宣彦版(原田知世版というべきか)の「時をかける少女」には遠く及ばない出来。
以下ネタバレありなので要注意。
まず、気になるのはクライマックス部分でのタイムリープの嘘である。タイムリープの使用回数を使い切った真琴だけれど、千昭のタイムリープによって最後の1回を使う前の過去に戻されたことによってもう一度タイムリープできることに気付くという部分。これは劇中のタイムリープの設定からすると明らかにおかしい。千昭のタイムリープによって過去に引き戻された以上、真琴にとって最後の1回を使ったという経験そのものが無かったことになった筈である。にも関わらず劇中での真琴は最後の1回を使ってしまったという記憶を維持している。これは作劇上の嘘というにはあまりにもご都合主義といえると思う。(その後の真琴のタイムリープで過去に戻ったさいに千昭は記憶を持ってないという描写がある以上なおさらだ)
また、千昭の存在も謎が多いというか説得力に欠ける。千昭は一枚の絵を見るために過去にやってくるのだが、何故、普通の高校生として生活する必要があるのか其処に何の説明もない。またその絵を見ることなく未来に帰ってしまうのだが、そのことに対して殆ど未練も何も感じてないようだ。後何日かすれば絵の修復は終わって見ることが出来るにもかかわらず、真琴は千昭に真実を告げ、千昭はそのまま未来に帰ってしまう。真琴が過去にタイムリープしたことにより、千昭は真琴に自分が未来人であることを知られたということを知らない訳で、あと何日か真琴が黙っていれば千昭は絵を見ることが出来た。或いは、真琴が絵の修復をしている叔母に頼めば簡単に見ることが出来たにも関わらず、真琴はそういう選択肢を考慮しない。真琴は後先考えないキャラクターだからという説明は出来たとしても、ドラマとしては最後に千昭は絵を見て未来に帰るというのが本来ではないかと思う。何故、あのような結末にしたのか理解に苦しむ。結局のところ、脚本家は高校生の男女の出会いと別れにしか関心がなく、タイムリープがどうこうといった部分は単なる添え物程度としか考えてなかったのではないかと思われる。少なくとも、叔母である芳山和子が深町と吾郎と3人で写っている写真を持っているという場面が出てきたりするぐらいだから、原作に対する理解もリスペクトの感情も持ち合わせていないことは明白。
映像的な表現においては素晴らしいものがあるだけに、この脚本の杜撰さが残念でならない。脚本は奥寺佐渡子という人なのだが、この人、こんど放映される小田ひで次の「ミノリの森」の脚本も書いてるんだなぁ、もの凄く不安だ。
allcinema ONLINE : 時をかける少女
IMDb : Toki wo kakeru shôjo
Jul 23, 2007 10:44:40 AM | Permalink





Comments
ぼくも観ました。
確かに仰るとおり、おかしなところがいくつもあるんですが、
最終的に「まあいいや」と思わせる不思議な魅力がある映画でした。
多分キャラクターがみんな魅力的だからですね。
でもコウスケとか言ったかマコトと仲良しの。
あれが片耳にピアスをしてるのが気持ち悪かったです。
あと首が太すぎな気が。
もしかして彼はゲイという裏設定でしょうか(笑)
妹はかわいかったです。
Posted by: 五嶋 英門 | 2007.07.23 11:01 午前
キャラクターに関しても、真琴って冷静にみれば凄く嫌な女の子ですよね。自分のことしか考えてないし。
でも、確かに本編を観てるとそういうことは殆ど気にならないですね。そこら辺は映像の力だと思います。
妹が可愛いには全面的に同意です。
Posted by: Hugo | 2007.07.23 11:43 午前
こんにちは。
時間ものに矛盾は避けられないので、はなからそのあたりは気にしないようにして見たのですが、で、面白かったし、泣かされもしたんですが、私もあの場面では、「ああ、言わなきゃいいのに」と思いました。
あそこでどうするかは脚本家の方もかなり悩んだんじゃないかと思いますが、この主人公はそういう性格、あるいはその時の心情ではこうしちゃうだろうと思ったんでしょうね、善し悪しは別にして。
それより無くしものをしたんだったら、その前に戻りゃいいんじゃないかと思ったのは私だけ?
Posted by: Hiro | 2007.07.23 09:51 午後
Hiroさん、こんばんは。
正直、脚本に関しては「時間ものにつきものの矛盾」というレベルを超える杜撰さであったと思います。演出や作画は本当に素晴らしいものがあると思えるだけに脚本の拙さが余計に目立つ結果になってしまってますね。
Posted by: Hugo | 2007.07.23 10:51 午後
自分もつい最近見たのですが同じ感想を持ちました。
脚本のヌルさやら全体の演出からアニメファン向けの作品臭がしました。
あと見終わった後にハウル降板が妙に納得いった。
そして妹が可愛いかった。
Posted by: Nan | 2007.07.27 09:05 午前
Nanさん、こんにちは。
今時のアニメファンが好みそうな感じというのは確かにありますね。
> あと見終わった後にハウル降板が妙に納得いった。
宮崎駿とは相性合わなさそうですもんね。
Posted by: Hugo | 2007.07.27 11:15 午前